昨年の夏、知人からマリーゴールドの苗をもらい「お花ちゃん」と名付けて家族で育て始めました。仕事が忙しいことを理由に、家は「寝るための場所」と割り切った生活スタイルだったのですが、「家でもちょっと生活に潤いを」と思って始めた「お花ちゃん」育てでした。今回は「花」と「子育て」のお話です。
枯れてしまった「お花ちゃん」
マリーゴールドは育てやすい花らしく、朝晩の水やりでどんどん大きく成長していき、私たちを楽しませてくれました。日中は暑いので日陰に置いたり、大きくなるにつれて、「もっともっと大きくなぁれ」と願いを込めて大きな鉢に植え替えたりしていました。
しかし、鉢を植え替えたそんな暑いある日、「お花ちゃん」の元気がないことに気が付きました。焦った私たちは、お水をあげたり、養分をあげたりして懸命に世話をしましたが、結局枯れてしまいました。
よかれと思った行動がストレスに
知人にその話をすると、枯れた原因は鉢の植え替えだろうとのことでした。暑い日が続くと花も夏バテになるそうで、そのような状況で環境が変わると、花はそのストレスに耐えられないそうです。
「お花ちゃん」のためによかれと思った鉢の植え替えが、「お花ちゃん」にとってストレスだったとは・・・。私たちは、ショックを隠しきれませんでした。「ごめんね。お花ちゃん。小さい鉢でも、十分だったのね。それで、あなたは幸せだったのね。先取りしすぎたのね」
子育ても「お花ちゃん」育てと同じ
子育ても同じです。親は、子どものために(間違いなく)良かれと思って、もっともっとよい環境を与えてやりたいと思いますよね。でも、それが結果的に、子どもにとっては、プレッシャーになり、ストレスになることがあります。きっと、“未来”ではなく“今”の子どもの素晴らしさに目を向けることが大事なのですね。
「お花ちゃん、大事なことを教えてくれてありがとう」
子ども学部子ども学科
上野 永子 先生
アタッチメント(愛着)理論・アタッチメント(愛着)研究に基づく養育者支援や心理療法について実践・研究しています。趣味は、旅行と演劇鑑賞。SPACが大好きで、たびたび静岡芸術劇場に出没しています。